さまざまなイベント企画を行っている鎌倉市倫理法人会

モーニングセミナーをはじめ、おもしろ企画をどんどん行っています。いろんな経験をしたいなら鎌倉市倫理法人会へ!

2014年1月30日木曜日


130日(木)


東武東上線踏切事故の原因


昨日早朝、東武東上線の踏み切りで、無人の軽自動車が踏切内に入り、電車と衝突、4時間半もの間電車の運行に大きな影響を与えました。損害額を請求すると、1億円にもなりそうな事故です。

 女性ドライバーが、エンジンを掛けたまま、Dレンジで運転席を離れ、郵便物をポストに投函しようとしたほんの少しの間に車が動き出したようです。

車の取扱説明書には、「運転席を離れるときには、Pレンジに入れ、エンジンを止めてサイドブレーキを引くこと」としていますが、エンジンを掛けたまま、NレンジやPレンジにして車から離れるドライバーは多いと思います。

しかし、今回はDレンジで車両を止めていたのが、最悪の結果を生んだのでしょう。

Dレンジの場合、駆動系はクリープ(這い出し)力を発生していて、車は前方に動こうとし、その力をサイドブレーキで止めていることになります。

従って、サイドブレーキの効きが甘かったり、何かの衝撃(ドライバーが下車するなどの小さな衝撃を含む)が車両に加わると、車は動き出します。

 また、エアコンのコンプレッサーが作動開始(冬でもコンプレッサを作動させている車両が殆ど)すると、エンジン負荷が増大し、そのままではエンストする心配があるので、エンジンスロットル弁を少しだけ開いて、エンジン回転速度を上昇させる制御を取り入れている車が殆どです。

 すると、その瞬間に車両のクリープ力はエンジン回転速度の2乗に比例して増大し、サイドブレーキでかろうじて停止していた車両が動き出すことは十分あり得ます。

 
25年ほど前に、米国でドライバーが登り坂でエンジンを止め、Pレンジにして車から離れた瞬間に車両が後退して大事故を起こしたことがありました。殆どの米国のドライバーは、車両を止めておく際にサイドブレーキを引きません。極寒時の早朝に、ブレーキが凍りつき発進できなくなることを回避するためですが、夏でもサイドブレーキを引かないドライバーが殆どです。

 この事故原因を調査した結果、ドライバーは、Pレンジにしたつもりでしたが、コントロールレバーは、PRの中間にあり、何らかの小さな衝撃によって、R側にレバーが入ってしまい、車両が坂を降ってしまったのが原因でした。要するに、PRの間でレバーが止まってしまうリンケージの問題だったのです。

このことがあって、自動車メーカでは、各レンジの間ではレバーが止まらないように注意深く設計するとともに、製造時にもチェックしています。

 

踏切事故に関しては、新聞やテレビで色々と解説していますが、エンジンを掛けたまま運転席を離れたことだけを問題にしているようです。車のメカニズムからの詳細な考察が必要と思い、本件を採り上げました。

皆さんもオートマチック車を運転する際には、アクセルとブレーキの踏み違いを含め、重大事故に繋がることのない運転に心がけましょう。

文責:広報委員長 平松健男

0 件のコメント:

コメントを投稿